サンク・オ・ピエ
まずは定番、三陸産生牡蠣。この季節がやって参りました。
一緒に出された酒が、シェリーのフィノ。これはいい。
こと生牡蠣に関して言えば、ワインを合わせるのがだいぶ難しいと思う。
ドライシェリーなら、磯の香りの邪魔にならないし、臭みも出ず味が締まる。
このようにシェリービネガーを使えば、ひょっとして日本酒より相性がいいかも。

黒豚のリエット。
八角を軽く効かせてあり、ゲヴェルツが良く合う。
味があってクセなくて滑らかで、するっする入る。
忘れそうになるけど肉とラードの塊ですよ?それなのにこの軽さ。これはヤヴァイ。

黒豚モツの白ワイン煮込み。
一見、人参やジャガと一緒にスープで煮込んであるだけ。
代わりに肉が入れば、あっさりシチューといった趣。それでも美味いだろう。
いやいやいや、これモツじゃなきゃダメ。後ひく味。もっと食べたくなる。
臭みは抜けてるけど、味や歯ごたえはしっかり。どうしたらこうなるのか。
また、ソーヴィニヨン・ブランが何故こうもモツに合ってしまうのか。
モツ煮って言えば、味噌や醤油でコッテコテのに、焼酎なんだと思ってた。
今思えば、味噌だの焼酎だので臭みを誤魔化して、流し込んでた。
そのモツが、すました顔してこんなとこに収まっている変貌ぶりにはビックリだ。
遊び人を名乗る与太者が、なんで平然と町奉行やってるの?みたいな。
もう、これには平伏するほかない。

生ハムの洋梨添え。
ドイツのスパークリングロゼと共に。甘みと酸味がうまく対応している。
この生ハムもこれで最後のほうだってから、名残惜しく味わう。
ここまでで、なんか豚を堪能したって気分。
ポークソテーとか、ストレートに豚肉を使った料理はないのに満足感が。
後は豚足でもあれば、豚制覇だな。

メインは豚から一転して鶏。ペリゴール産地鶏のロースト。
旨いと聞かされ、旨さを期待し、実際旨かった。だが、それは予想外なところに。
旨いっつっても、柔らかいとかジューシーとかいうような、今までの鶏肉の評価ポイントとは違う。肉、つまり筋繊維の部分が旨い。
肉自体から穀物のような香ばしい香りがして、そっから意識が逸らせない存在感。
淡泊で、だからこそ様々な調理法を受け入れる、肉としては控えめなチキン野郎だと思ってたら、突如自己主張し始めた。
こいつには死角がない。正にキング・オブ・チキン。
中心にあるのはピラフだと思うが、あえて炊き込みご飯と呼びたいもの。
地鶏ガラのダシとキノコが米に絡んで、ああ…
可能ならおかわりをし、食べきれない分はおむすびにして持ち帰りたい。

ミルクソルベとミルクムース。
ミルク味の洪水。この小さな一皿にミルクが凝縮してる。
乳児の記憶なぞないはずなのに、赤児に戻った気分。

今回は特に変わった食材もない筈なのになあ。それが一番の驚き。
素材を吟味し、工夫と技術を尽くすと、これだけのものが展開出来るって見本。
料理って素晴らしい。次回も楽しみだ~♪
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