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CASSHERN

DVD発売時に観ようと思ったが、皆のあまりの酷評に躊躇し挫折。
最近やったTV放映はとりあえず録画しておいたものの、観る気もなく放置。
他に観るものがなくなったため、しかたなく観るかぁ と、ようやく観た次第。

new_casshern

つまり、期待値ゼロ。
この状況が良かったのだとも思うが、興味深い点は多分にあった。

まず、映像が美しい。
ただし、リアル志向でなく、過剰なほど修飾された画作り。
プロモーションビデオを撮ってた監督らしいが、まさにプロモーションビデオっぽい。

そして、映画としての問題は多い。ちと多すぎ。(笑)
各シーンのつながりは当然重要なのに、場面ごとで別々の小作品を観てるかの如く。
時代や情勢などの世界観がつかみにくく、世界そのものの実在感が希薄。
背景はセットとCGで構成されているのだが、キレイだけどいかにも作り物っぽい、ベニヤ板に描いた絵のような、薄っぺらなイメージ。

そういったことも、「これは演劇だな」と、見方を切り換えた時点で良くなった。
観劇してて、セットが本物でないとか舞台が狭いとかで、怒る奴はいない。
逆にそれらとの対比により、役と演技が本物らしく目に映ることもある。
俳優陣はいいところを揃えてあるし。

今までの映画の文法を無視しているので違和感は多少あるが、その型破り故に、他の日本映画はこれの良いところを見習うべきかもしれない。
過度に本物らしさだけこだわっていては、金と手間が異常にかかった地味なドキュメンタリーもどきになるだけ。
日本の特撮だって技術は進歩しても、多くが昔ながらの呪縛に囚われていると思うし。
いや、これから全部を学んだら必ず失敗するから、参考程度でお願いします。

また、オリジナル作品でなく、「キャシャーン」という名で映画にする必要あったかどうかは、ストーリーだけ見てくと微妙。原作とはだいぶ違う。
しかし、あのヘルメットや、フレンダー(しかも生犬)が一瞬だけ出ることで、これはキャシャーンだったのだと思い出し、ニヤリとさせられる。
個人的に、原作との距離感はこんなものでいいと思う。

さて、肝心の中身は、くどいほど繰り返す殺戮のフラッシュバック、画面の暗さも相まって重苦しい。さらに、ステレオタイプなキャラ、ありがちなストーリー。
俳優達の好演と映像美がなければ、途中投げ出してしまいそうになりつつ、意外にも最後それら全てが繋がった。

結局、善悪の区別なんてものすらない。登場人物の誰もがそれぞれ幸せを願った結果として、復讐の連鎖の中に全員が組み込まれ、死んでいく。
これは現実世界で現在も起こり、繰り返されていること。
そこで画面は、各々が本来あるべき筈だった、平和で幸せそうな生活を映し出す。
それも今までのセットではなく、初めて自然の風景の中で描かれる。

嘘臭い設定・嘘臭い画から、突如現実味を持った映像へと。ここでも対比だ。
虚を衝かれたこともあるが、これに心打たれたのは事実。
ハッピーエンドでなく、救いはない。だからこそ、心に残る。


いやあ、なんか拾い物をしたような。すっきりしたような。
これで、我が家のHDレコーダーにただ一つだけ残っているのは、「シベリア超特急2」。
こいつもすっきりさせたいが、観たらもっとひどいことになりそう…

siberiane_express2

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