りすとカツ代のきょうびの料理(秋月りす・小林カツ代著)

「きょうの料理」という雑誌がございます。
毎日の献立を考えるのに、これほど重宝する雑誌はございません。
「きょうびの料理」とは、その「きょうの料理」に連載していたマンガ。
毎月結構楽しみにしてただけに、終わったのはかなり残念だった。
単行本化を期待したんだが、なにせこれ、月刊誌に4コマを1本のみ。
一冊にするにはどう考えても量足りないため、何か他の作品のおまけで収録されないかと願いつつ、早幾年。
ようやく実現したものは、NHK出版でもなければ、マンガ本としてですらなかった。
忘れかけた頃に死角から不意の一撃。本屋で偶然これを見つけた時は驚きましたよ。
小林カツ代との共著になって、マンガとレシピで見開き半分こ。
なるほど。コンセプトは良かったと思いますです。はい、ほんとに。
が! レイアウトこれじゃ、せっかくのアイデアも逆方向に転がっちまってる。
マンガを前面に押し出したい編集の意向は、よくわかる。よーくわかる。
だけども、作品の持ち味を最大限に活かすなら、レシピメインで行くべきだった。
マンガはオチとして、レシピの最後にちょこっとあればいいのよ。
このマンガの連載時は料理雑誌だから、技術やら分量やらきっちりした料理料理料理!しか載ってないとこに、こいつだけがフッと力の抜けた「実際はこんなもんよ」感が良かったわけで。
今日の料理!つーと、献立をちゃんと決めてすぐ作んなきゃ~って切迫してるっしょ。
だから、「きょうの料理」ならぬ「きょうびの料理」なわけで。
あ、それと、料理研究家の大御所たるお方が、マンガにレシピつけるなんて仕事を真摯に取り組んでて、これには見直した。株上がった。でもね、この人マジメ過ぎるのね。
ユーモアないってことじゃないけど、仕事キッチリやり過ぎなの。
4コママンガに対して生真面目で真っ正面なコメントをつけちゃうことほど、アイタタタ...なことはない。テキトーに流して流して!
とはいえ、小林カツ代は「家庭料理」というものをよくわかっている料理人であり家庭人なので、参考になりそうなレシピはいくつもあるし、出版に到るまでの裏話も書いてあったり、少女マンガの大御所・大島弓子の付録マンガがあったり、本編四コマにも描きおろしの新作あり、本としての魅力はそこそこあるんですわ。
でも、元のマンガの面白さ半減。作品のファンとしては複雑な心境。
また困ったことに、(時間もなく面倒で)献立を考えなければならない場面では、開くこともこれから多分にあり得る本で、そのたびにこの感覚がよぎるのだろうな。
いいとも悪いとも言い切れない、忘れ去ることもかなわない、類のない奇妙な本である。
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