今年読んだマンガを振り返ってみる2006
昨年振り返ったので、今年もやらなければならないと、何故かそんな強迫観念が。
それも大晦日に。そんな決まり作った訳じゃないのに。
収まりきらなくなって、とうとう床平積みになったマンガの怨念が、そうさせるのか。
「ファイブスター物語」(永野護著)

いまさら語るもおこがましいが、久しぶりの新刊でしたので。
SFというよりはファンタジー、ていうか神話。主人公もろ神様。
さて、あたりまえのことだが、科学技術は常に進歩し続けるなんてことあり得ない。
この世界は、まさに科学技術爛熟期であり、最新鋭機が最強では当然ない。
技術そのものに大きな差はないとすれば、設計力の優劣が強さにつながる。
つまり、デザインセンスが強弱を分けるというような、さすがデザイナー的発想だが、あり得るなぁ~と納得させられたり。
あくまで架空ではあるが、歴史物でもあったりする。
歴史年表は最初から公表されているので、物語の結果はみんな承知してるのに、エピソードを興味深く読ませるって、並のストーリーテラーじゃない。
こんだけ様々なエッセンスがこれでもかとブチ込んであって、破綻をきたした電波系マンガにならないのは、卓越したセンスのなせる技か。
誰にも真似出来ないし、真似したところで物真似のレベルにすらならんほど、飛び抜けちゃってる作品。
「BASTARD!!」(萩原一至著)

いまさら語るもおこがましいが、久しぶりの新刊でしたので。そんなんばっか。
これはパロディの塊のような作品。パロディだけで構成されてるとすら言える。
このパロディの積層状態は、どっからどこまで意識的にやってるのかもわからん。
そして、パロディといえど、物凄いエネルギーを注入してやれば、強烈な光を放ち、オリジナルな存在へと昇華する。
人間の営みそのものが全て模倣の積み重ねで成り立ってることを思えば、独自だパロだと言うこと自体がナンセンスだと言いたいのか。
小うるさいことガタガタ言わず、作品そのものをしっかり見据えてみろ!と主張してるんだかしてないんだか、おちょくってるだけなんだか。
で、これ、ちゃんと完結するの?
「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子著)

いまさら語るも(略) これは久しぶりじゃないな。
この人も徐々に好きになってきた人で、バブル期あたりのマンガには見向きもしなかったけど、「平成よっぱらい研究所」に衝撃を受けて以来、崇めている。
最近はさらに脂が乗り、のだめは誰もが認める作品だが、そのドラマ化については、クラシック音楽のマンガを映像にしたらボロ出まくりで台無しだろ~ とかバカにして観なかったら、結構評判良かったりしてやや後悔。
1月に始まるアニメ版は、観よう。
「エマ」(森薫著)

本編は終了しましたが、特別編などで連載継続中。
単なるメイドマンガと侮るなかれ。時代考証はなかなかのもの。
なにせこれほど生活に密着した職業もなく、当時の生活を事細かに描写している。
しかも、舞台はヴィクトリア期のイギリス。
産業革命であり、科学革命でもあり、万国博覧会があり、推理小説の舞台であり。
当時この地を訪れた日本人が、その強大さに圧倒され絶望感を味わったほどの国。
経済も科学も文学も凶悪犯罪も、ここで現代の雛形が一気に生み出されたからには、その活気たるや凄かったのだろうと想像する訳です。
それをマンガで再現してくれる。しかもメイド付き。これはお得だ。(笑)
「しゃにむにGO」(羅川真里茂著)

スポーツもの、特に学園スポーツ青春ものってのは、設定が非常に限定されているため、陳腐な展開になりやすい。が、そこは羅川真里茂。
基本線は明るい青春ものでありながら、身体だったり家庭だったり過去だったり、各登場人物が何らかの事情を抱えており、一筋縄の単純な話でない。
主軸は高校テニスの話なんだけど、最近は、障害者テニスの話も加わった。
障害者スポーツものとしては、「リアル」(井上雄彦著)つーのもありますが、そーゆーとこだけにスポットが当てられてる訳じゃーない。
いろんな人がいて、いろんな事情があって、その各々にもいろんな選択肢があって。
なんつーか、登場人物がみんな懸命なのね。一所懸命でなく、一生懸命。
それぞれ生き方を模索し変化成長しながら、それぞれ頑張ってるとこがいいのです。
「下山手ドレス(別室)」(西村しのぶ著)

寡作なほうの作家で新刊にはあまりお目にかかれないのだが、新装版やら完全版で最近やたら買ってる(買わされてる)ような気がする。
その中で、下山手別室はきちんとした新刊。
西村しのぶの描くマンガは、若かりし頃の私にとって雲の上の憧れの情景。
されど、絵空事の夢物語でなく、自分とは別の現実世界にある幸せ。
少女マンガに胸ときめかせる夢見る乙女の気持ちって、こんなんかも。と思ったり。
それでも、下山手とか近年のエッセイマンガでは、飲み食いの部分や、石けん生活なとことか、自分と重なる部分が出てきたのは嬉しい。
この人は、いいものを見極め取り入れる才能が、マンガにも生活スタイルにも現れており、希有な存在として強い支持を受けるのもよくわかる。
「蔵人」(尾瀬あきら著)

「夏子の酒」の尾瀬あきら新作、日本酒もの。
そんなん出ちゃうと、駄作でも自己模倣でも、何でも買いなんですけどね。
とりあえず、夏子の酒は造りのことばかりだったけど、今度のは酒販店や飲食店の話や、燗などの飲み方についても、広範に語ってくれそうで期待。
日本酒の魅力をさらに広め、日本酒が再認識されるほどになるといいな。
「もやしもん」(石川雅之著)

微生物マンガ。
これほど微小ながら、これほど広大な題目もそうあるまい。
だいたい、微生物がいなければ、動物も植物も生きていけない。
全生物の頂点たる人間様なんか、微生物なしで一瞬たりとも生きていられない。
私自身の生活形態も、微生物のお世話になるものの割合が多くなってきており、これを読むと、体の内外で活躍してるんだよなあと実感する。
つーか、むしろ微生物群の中で、生かされているような存在なんだと。
このマンガも、日本酒にだいぶ肩入れしてるから、それも応援。
他にもたくさんいいマンガは出てるけどさ。今日パッと浮かんだのはこんだけ。
年の前半に出たのは、記憶が薄くなってるからかなー
しかし、いつも年明けギリギリだよ。なんとか、間に合ってよかった…
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